公務員の手取りはいくら?2026年版|給与体系・共済・手当を解説

最終更新: 2026年3月

公務員の給与は「俸給表」に基づいて決まり、民間企業とは給与体系や社会保険制度が異なります。この記事では、公務員の年収から実際の手取りがいくらになるのかを、年収400万〜700万円の範囲でシミュレーションし、給与の仕組みから退職金まで詳しく解説します。

公務員の給与体系(俸給表・地域手当・期末勤勉手当)

公務員の給与は、民間企業の「基本給」にあたる俸給と、各種手当で構成されています。民間企業のように会社ごとに給与テーブルが異なるのではなく、法律に基づいた全国統一の俸給表で決まるのが最大の特徴です。

俸給表の仕組み

国家公務員の俸給は「行政職俸給表(一)」などの俸給表に基づき、「級」(職務の複雑さ・責任の度合い)「号俸」(勤務年数・勤務成績)の2軸で決まります。

・1級〜3級:係員クラス(月額約15万〜30万円)
・4級〜5級:係長・課長補佐クラス(月額約27万〜38万円)
・6級〜7級:課長クラス(月額約32万〜45万円)
・8級〜10級:部長・局長クラス(月額約40万〜55万円)

毎年1月に4号俸昇給するのが標準ペースです。勤務成績が特に優秀な場合は6号俸や8号俸昇給もあります。

地域手当

地域手当は、民間賃金の高い地域に勤務する公務員に支給されます。期末勤勉手当(ボーナス)の算定基礎にも含まれるため、年収への影響は大きくなります。

地域 支給割合 月額例(俸給30万円の場合)
東京都特別区 20% 60,000円
横浜市・大阪市 16% 48,000円
名古屋市 15% 45,000円
さいたま市・千葉市 12% 36,000円
地域手当なしの地域 0% 0円

期末勤勉手当(ボーナス)

公務員のボーナスは「期末手当」と「勤勉手当」の2つに分かれます。国家公務員の場合、年間合計で約4.50月分(2025年人事院勧告ベース)が支給されます。

・期末手当:在職期間に応じて一律に支給(約2.45月分)
・勤勉手当:勤務成績に応じて支給(約2.05月分)
・支給月:6月と12月の年2回

ポイント

地方公務員のボーナスは自治体の条例で定められ、国家公務員とは月数が異なる場合があります。一般的に4.3〜4.6月分の範囲です。

民間企業との社会保険の違い(共済組合vs協会けんぽ)

公務員は「共済組合」に加入します。2015年の被用者年金一元化により、年金制度は厚生年金に統合されましたが、健康保険については引き続き共済組合の短期給付として独自に運営されています。

項目 公務員(共済組合) 民間企業(協会けんぽ)
厚生年金保険料率 18.3%(労使折半) 18.3%(労使折半)
健康保険料率 約8〜9%(組合による) 約9.3〜10.7%(都道府県による)
付加給付 あり(高額療養費の上乗せ等) なし
介護保険料率 約1.6%(40歳以上) 約1.6%(40歳以上)
雇用保険 加入なし 加入あり(0.6%)
注目

公務員は雇用保険に加入しません。そのため失業給付はありませんが、退職手当が失業給付の代替として設計されています。退職手当の額が失業給付の額を下回る場合は差額が支給される仕組みです。

共済組合の大きなメリットは付加給付です。医療費の自己負担が一定額を超えると、高額療養費制度に加えて共済独自の給付金が支給されるため、実質的な医療費負担は民間企業の社員よりも少なくなることがあります。

あなたの手取りを正確に計算

年収・家族構成・地域を入力して、手取り額をシミュレーションしましょう。

年収別手取りシミュレーション(400万〜700万)

以下は、東京都特別区勤務・40歳未満・扶養親族なしの国家公務員を想定した概算です。実際の手取りは地域手当の支給割合や扶養状況で変動します。

年収 所得税 住民税 社会保険料 手取り 手取り率
400万円 約8.5万円 約17.5万円 約58万円 約316万円 79.0%
500万円 約14万円 約24.5万円 約73万円 約389万円 77.7%
600万円 約20.5万円 約31万円 約87万円 約462万円 76.9%
700万円 約31万円 約38.5万円 約102万円 約529万円 75.5%
手取り率の傾向

年収が上がるにつれて手取り率は緩やかに下がります。これは所得税の累進課税が主な要因です。公務員特有の事情として、地域手当なしの地域勤務の場合、同じ俸給でも年収自体が低くなるため、手取り率はやや高くなります。

公務員特有の手当

公務員には法律で定められた各種手当があります。これらの手当は課税対象のものとそうでないものがあり、手取りへの影響が異なります。

住居手当

国家公務員の住居手当は、月額家賃16,000円を超える場合に最大28,000円が支給されます(2026年現在)。持ち家に対する住居手当は2009年に廃止されています。地方公務員は自治体によって金額が異なり、一部の自治体では持ち家手当が残っているケースもあります。

通勤手当

通勤手当は実費支給が原則で、月額55,000円が上限です。交通機関利用の場合は定期券相当額、自動車利用の場合は距離に応じた額が支給されます。通勤手当は原則非課税のため、手取りに直接プラスされます。

扶養手当

国家公務員の扶養手当は以下の通りです。

区分 月額
配偶者 6,500円
子(1人につき) 10,000円
16〜22歳の子(加算) +5,000円
父母等 6,500円

扶養手当は期末勤勉手当の算定基礎に含まれるため、年間では月額の約16.5倍(12月分+ボーナス約4.5月分)の効果があります。子ども1人の扶養手当10,000円/月は、年間では約16.5万円の収入増になります。

その他の主な手当

超過勤務手当(残業代):時間外勤務1時間あたり俸給の125〜150%
管理職手当:課長級以上に俸給の12〜25%程度
単身赴任手当:月額30,000〜100,000円(距離に応じて加算)
寒冷地手当:11月〜3月に月額7,360〜26,380円

退職金の計算方法

公務員の退職金(退職手当)は、以下の計算式で算出されます。

計算式

退職手当 = 退職日の俸給月額 × 支給率 + 調整額

支給率は勤続年数と退職理由(定年・自己都合等)で決まります。

勤続年数 定年退職の支給率 自己都合退職の支給率
10年 約12.5 約5.0
20年 約25.0 約19.7
30年 約37.5 約34.7
35年以上 約47.7 約41.3

例えば、退職日の俸給月額が40万円で勤続35年の定年退職の場合、退職手当は「40万円 × 47.7 + 調整額」で約2,000万〜2,200万円程度となります。

退職金にかかる税金は「退職所得控除」により大幅に軽減されます。勤続35年の場合、退職所得控除は70万円×(35年-20年)+800万円=1,850万円です。退職金2,100万円の場合、課税対象は(2,100万円−1,850万円)×1/2=125万円のみとなります。

注意

2025年度税制改正大綱で退職所得課税の見直しが議論されています。勤続年数による有利・不利の差が縮小される方向で検討されているため、最新の税制改正情報を確認してください。

退職金・年金もまとめてシミュレーション

手取り計算だけでなく、退職金の税金や年金受給額もチェックしましょう。

よくある質問Q&A

公務員の手取りは民間企業より多いですか?
同じ年収で比較すると手取りはほぼ同水準です。共済組合の保険料率は協会けんぽと統一されています。ただし公務員はボーナスが安定しており退職金制度も充実しているため、生涯賃金では有利な傾向があります。
公務員のボーナス(期末勤勉手当)はいくらですか?
国家公務員は年間約4.50月分が目安です。地方公務員は自治体により4.3〜4.6月分程度。月給30万円の場合、年間ボーナスは約135万円になります。
公務員の退職金の相場はいくらですか?
国家公務員の定年退職金(勤続35年以上)の平均は約2,100万円前後です。計算式は「退職日の俸給月額×支給率+調整額」で、地方公務員も概ね同水準ですが自治体により異なります。
公務員の地域手当とは何ですか?
民間賃金が高い地域に勤務する公務員に支給される手当です。東京都特別区が最高の20%、横浜市・大阪市16%など。ボーナスの算定基礎にも含まれるため年収への影響は大きくなります。
公務員の共済組合と会社員の社会保険はどう違いますか?
2015年の被用者年金一元化で年金は統合済みで、保険料率18.3%(労使折半)は同じです。健康保険は共済組合独自の運営で、付加給付など上乗せ給付があるのが特徴です。また公務員は雇用保険に加入しません。
出典・参考資料