ITエンジニアの手取りはいくら?2026年版|会社員・フリーランス比較
最終更新: 2026年3月
ITエンジニアは会社員として働くかフリーランスとして独立するかで、同じスキル・同じ仕事でも手取りが大きく変わります。この記事では、両者の手取り比較に加え、ストックオプション・RSUの税務や副業の税金まで、エンジニアが知っておくべきお金の知識を網羅的に解説します。
会社員エンジニアvsフリーランスエンジニアの手取り比較
同じ年収(売上)でも、会社員とフリーランスでは税金・社会保険の仕組みが異なるため、手取り額に差が出ます。
| 項目 | 会社員エンジニア | フリーランスエンジニア |
|---|---|---|
| 経費 | 給与所得控除(上限195万円) | 実額で計上+青色申告控除65万円 |
| 健康保険 | 健保(会社が半額負担) | 国保(全額自己負担) |
| 年金 | 厚生年金(会社が半額負担) | 国民年金(全額自己負担・定額) |
| 雇用保険 | 加入(失業給付あり) | 加入なし |
| 退職金 | 制度があれば支給 | なし(小規模企業共済等で自助) |
| 確定申告 | 原則不要(年末調整) | 必須 |
具体的に年収(売上)800万円で比較してみましょう(経費率20%、独身、40歳未満)。
| 項目 | 会社員(年収800万) | フリーランス(売上800万・経費160万) |
|---|---|---|
| 所得控除 | 給与所得控除190万円 | 経費160万+青色65万=225万円 |
| 課税所得 | 約462万円 | 約427万円 |
| 所得税+住民税 | 約115万円 | 約100万円 |
| 社会保険料 | 約115万円(自己負担分) | 約80万円(国保+国民年金) |
| 手取り | 約570万円 | 約460万円(経費引後) |
フリーランスの「手取り」は経費を差し引いた後の金額です。経費160万円の中にはPC購入費や通信費など「実際に使ったお金」が含まれるため、自由に使えるお金は表の手取り額とほぼ一致します。会社員の場合、PC・通信費等は会社負担なので手取り=自由に使えるお金です。
一般的に、フリーランスの月単価が60万円以上(年間売上720万円以上)で、かつ経費率が15〜25%程度の場合、同レベルの会社員時代より手取りが増えるケースが多いです。ただし退職金・有給休暇・福利厚生の有無も考慮すると、月単価70万円以上が安心ラインといえます。
年収・経費率を入力して、それぞれの手取り額をシミュレーション。
フリーランスの経費と確定申告
経費として認められる主な支出
フリーランスエンジニアが経費に計上できる主な支出は以下の通りです。
| 科目 | 内容例 | 年間目安 |
|---|---|---|
| 消耗品費 | PC(10万未満)、周辺機器、ソフト | 10〜30万円 |
| 減価償却費 | PC(10万以上)、モニター等 | 5〜15万円 |
| 通信費 | インターネット、携帯電話(按分) | 5〜10万円 |
| 地代家賃 | 自宅家賃の按分、コワーキング利用料 | 30〜80万円 |
| 研修費・書籍代 | 技術書、オンライン学習、カンファレンス | 5〜15万円 |
| 旅費交通費 | 客先までの交通費 | 5〜20万円 |
| 支払手数料 | クラウドサービス、会計ソフト | 5〜15万円 |
青色申告のメリット
フリーランスエンジニアは青色申告を強く推奨します。主なメリットは以下の通りです。
・青色申告特別控除65万円(e-Tax利用時)
・赤字の3年間繰越(開業初年度に設備投資で赤字→翌年以降の黒字と相殺可能)
・少額減価償却資産の特例(30万円未満を一括経費化)
・貸倒引当金の計上
売上800万円の場合、青色申告特別控除65万円による節税効果は所得税率20%帯で約13万円+住民税6.5万円=約19.5万円になります。
ストックオプション・RSUの税務
外資系IT企業やスタートアップでは、ストックオプション(SO)やRSU(制限付き株式ユニット)が報酬の一部として支給されるケースが増えています。これらの税務処理はやや複雑です。
ストックオプション(SO)
| 区分 | 権利行使時 | 株式売却時 |
|---|---|---|
| 税制適格SO | 非課税 | 譲渡所得(約20%) |
| 税制非適格SO | 給与所得(最大55%) | 譲渡所得(約20%) |
税制適格SOの場合、行使価格が100円で株価が1,000円の時に1,000株行使すると、行使時は非課税。売却時に(1,000円−100円)×1,000株=90万円に対して約20%(約18万円)の課税です。
税制非適格SOの場合、同じケースで行使時に90万円が給与所得として課税され、税率33%帯なら約39万円の税金がかかります。税制適格と非適格で約21万円の差が出ます。
RSU(制限付き株式ユニット)
RSUはベスト(権利確定)した時点で給与所得として課税されます。外資系IT企業では4年間で段階的にベストするケースが一般的です。
RSUは現金を受け取っていなくても課税されます。株式がベストした時点の時価で給与所得として加算されるため、株価が高い時にベストすると高額の税金が発生します。税金を払うために一部の株を売却する「sell-to-cover」の仕組みを利用するのが一般的です。
例えば、GAFAMで年間200万円分のRSUがベストした場合、本業の給与所得に200万円が加算されます。元の年収が1,000万円(税率33%帯)の場合、RSU分の追加税金は約86万円(所得税33%+住民税10%+復興税)となります。
副業・複業の税金
エンジニアは副業がしやすい職種です。副業収入の税務上の取り扱いを理解しておきましょう。
確定申告の要否
・副業収入(給与以外の所得)が年間20万円超→確定申告が必要
・副業が別の会社からの「給与」の場合→年間20万円超で確定申告が必要
・副業が「業務委託」の場合→売上−経費が20万円超で確定申告が必要
副業の所得区分
副業の業務委託案件は「事業所得」または「雑所得」として申告します。継続的・反復的に行っており、事業としての体裁が整っている場合は事業所得、そうでなければ雑所得です。
・赤字を本業の給与所得と損益通算できる
・青色申告特別控除が使える
・赤字の繰越ができる
ただし、年間売上が300万円以下の場合は雑所得と判断されるケースが多くなっています(2022年の国税庁通達改正)。
本業の年収と副業収入を入力して、確定申告で支払う税額をシミュレーション。
年収別手取り表(400万〜1200万)
以下は会社員エンジニア(独身・40歳未満・扶養なし)の年収別手取り概算です。
| 年収 | 所得税 | 住民税 | 社会保険料 | 手取り | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 約8.5万円 | 約17.5万円 | 約58万円 | 約316万円 | 79.0% |
| 500万円 | 約14万円 | 約24.5万円 | 約73万円 | 約389万円 | 77.7% |
| 600万円 | 約20.5万円 | 約31万円 | 約87万円 | 約462万円 | 76.9% |
| 700万円 | 約31万円 | 約38.5万円 | 約102万円 | 約529万円 | 75.5% |
| 800万円 | 約47万円 | 約45万円 | 約115万円 | 約593万円 | 74.2% |
| 1,000万円 | 約84万円 | 約63万円 | 約130万円 | 約723万円 | 72.3% |
| 1,200万円 | 約120万円 | 約83万円 | 約155万円 | 約842万円 | 70.2% |
あなたの年収と副業収入を入力して、手取り額を正確に計算。
よくある質問Q&A
- 月単価60万円(年720万円)以上で、経費率15〜25%程度なら会社員時代より手取りが増えるケースが多いです。ただし退職金・有給・福利厚生がないため、月単価70万円以上が安心ラインです。
- 税制適格SOは行使時非課税・売却時に譲渡所得約20%。税制非適格SOは行使時に給与所得(最大55%)で課税されます。税制適格の方が大幅に有利です。
- 副業収入(売上−経費)が年間20万円を超えると確定申告が必要です。継続的な事業として認められれば事業所得として青色申告が可能です。
- 業務に直接関連する支出が対象です。PC・周辺機器、通信費(按分)、書籍・教材、コワーキングスペース、自宅家賃の按分、クラウドサービス利用料などが主な経費です。