【2026年版】生命保険料控除とは?計算方法・上限額・年末調整の書き方
最終更新: 2026年3月
生命保険に加入していると、年末調整や確定申告で生命保険料控除を受けることができ、所得税と住民税を節税できます。しかし、「控除額の計算方法がわからない」「新制度と旧制度の違いがわからない」「年末調整でどう書けばいいの?」という声をよく聞きます。この記事では、生命保険料控除の3つの区分・計算方法・上限額・年末調整での書き方を2026年最新の情報で徹底解説します。控除額の早見表や年収別の節税シミュレーションも掲載していますので、ぜひ最後までお読みください。
生命保険料控除とは?3つの区分を解説
生命保険料控除は、支払った保険料の一定額を所得から差し引ける制度です。
新制度では「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3区分があり、各区分で最大4万円、合計最大12万円の所得控除を受けられます。
生命保険料控除は、所得税法に定められた所得控除の一種です。1年間に支払った生命保険料に応じて、一定の金額が所得から差し引かれ、結果として所得税と住民税が安くなります。会社員の方は年末調整で、自営業者やフリーランスの方は確定申告で手続きを行います。
2012年の税制改正以降(新制度)では、生命保険料控除は以下の3つの区分に分かれています。
1. 一般生命保険料控除
死亡保険・養老保険・学資保険など、生存または死亡に起因して保険金が支払われる保険が対象です。定期保険や終身保険、収入保障保険などが該当します。
2. 介護医療保険料控除
医療保険・がん保険・介護保険など、入院・通院・介護に起因して保険金が支払われる保険が対象です。2012年以降の新制度で新設された区分です。
3. 個人年金保険料控除
個人年金保険料税制適格特約が付いた個人年金保険が対象です。受取人が契約者本人または配偶者であること、保険料払込期間が10年以上であることなどの要件があります。
保険期間が5年未満の貯蓄保険、財形保険、団体信用生命保険(住宅ローンの団信)、傷害保険(傷害のみを補償するもの)は生命保険料控除の対象外です。また、保険金の受取人が契約者本人・配偶者・その他の親族以外の場合も対象外となります。
新制度と旧制度の違い
生命保険料控除には「新制度」と「旧制度」の2つの制度が存在します。契約日が2012年(平成24年)1月1日以降か、それ以前かで適用される制度が異なります。
| 項目 | 新制度(2012年1月1日以降) | 旧制度(2011年12月31日以前) |
|---|---|---|
| 区分数 | 3区分 | 2区分 |
| 一般生命保険料控除 | 最大4万円 | 最大5万円 |
| 介護医療保険料控除 | 最大4万円 | なし |
| 個人年金保険料控除 | 最大4万円 | 最大5万円 |
| 所得税の控除上限合計 | 最大12万円 | 最大10万円 |
| 住民税の控除上限合計 | 最大7万円 | 最大7万円 |
旧制度では「介護医療保険料控除」の区分がなく、医療保険やがん保険は「一般生命保険料控除」に含めて計算していました。新制度では介護医療保険料が独立した区分になったため、3区分それぞれで保険に加入している方は合計控除額が最大12万円と、旧制度の10万円より2万円多くなります。
新制度の保険と旧制度の保険の両方に加入している場合、区分ごとに新制度・旧制度のどちらか有利な方を選択できます(一般・個人年金の各区分について)。ただし、旧制度を選択した場合でも所得税の控除上限合計は12万円が上限となります。
控除額の計算方法(年間保険料別テーブル)
生命保険料控除額は、1年間(1月〜12月)に支払った保険料の金額に応じて、以下の計算式で算出されます。区分ごとにそれぞれ計算し、合算します。
新制度の計算式(所得税)
| 年間支払保険料 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 20,001円〜40,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 10,000円 |
| 40,001円〜80,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 20,000円 |
| 80,001円以上 | 一律 40,000円 |
旧制度の計算式(所得税)
| 年間支払保険料 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 25,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 25,001円〜50,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 12,500円 |
| 50,001円〜100,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 25,000円 |
| 100,001円以上 | 一律 50,000円 |
住民税の計算式(新制度)
| 年間支払保険料 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 12,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 12,001円〜32,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 6,000円 |
| 32,001円〜56,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 14,000円 |
| 56,001円以上 | 一律 28,000円 |
控除額は1円未満の端数を切り上げて計算します。また、配当金を受け取っている場合は「支払保険料 - 配当金」で正味の保険料を算出してから計算式に当てはめます。保険料控除証明書には「申告額」として配当金差引後の金額が記載されていることが多いので、その金額をそのまま使えます。
上限額は各4万円・合計12万円
生命保険料控除の上限額を正しく理解することは、保険の見直しや節税戦略を考えるうえで非常に重要です。
| 区分 | 所得税の上限 | 住民税の上限 | 上限に達する年間保険料 |
|---|---|---|---|
| 一般生命保険料 | 40,000円 | 28,000円 | 80,000円以上 |
| 介護医療保険料 | 40,000円 | 28,000円 | 80,000円以上 |
| 個人年金保険料 | 40,000円 | 28,000円 | 80,000円以上 |
| 合計 | 120,000円 | 70,000円 | 各区分80,000円以上 |
つまり、各区分で年間8万円以上の保険料を支払っていれば、控除額は上限に達します。それ以上保険料を増やしても節税効果は変わりません。保険料を年間24万円(月2万円×3区分)以上支払えば、所得税で12万円、住民税で7万円の控除をフルに活用できます。
控除額を最大化するコツは、1つの区分に偏らず3区分にバランスよく保険料を配分することです。たとえば一般生命保険に月2万円(年24万円)を支払っても控除額は4万円ですが、一般・介護医療・個人年金にそれぞれ月7,000円(年84,000円)ずつ支払えば、控除額は合計12万円になります。
保険料の金額を入力するだけで、所得税・住民税の控除額を一瞬で算出できます。
控除額早見表(支払保険料別)
新制度(所得税)の1区分あたりの控除額早見表です。年間支払保険料に対応する控除額を一覧で確認できます。
| 年間支払保険料 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
| 20,000円 | 20,000円 | 16,000円 |
| 30,000円 | 25,000円 | 21,000円 |
| 40,000円 | 30,000円 | 24,000円 |
| 50,000円 | 32,500円 | 26,500円 |
| 60,000円 | 35,000円 | 28,000円 |
| 80,000円 | 40,000円(上限) | 28,000円(上限) |
| 100,000円 | 40,000円(上限) | 28,000円(上限) |
| 120,000円 | 40,000円(上限) | 28,000円(上限) |
上記のとおり、所得税では年間支払保険料80,000円で控除額が上限の40,000円に達します。住民税では56,001円以上で上限の28,000円に達するため、住民税の観点では所得税より低い保険料で上限に達します。
3区分すべてで同額の保険料を支払っている場合、所得税の控除額は上記の3倍(最大12万円)、住民税の控除額は上記の3倍ですが合計上限7万円が適用されます。たとえば3区分で各6万円(合計18万円)支払った場合、所得税の控除額は35,000円×3=105,000円、住民税の控除額は28,000円×3=70,000円(上限7万円)となります。
年末調整での書き方(記入例付き)
会社員やパートの方は、毎年の年末調整で生命保険料控除を受けるのが一般的です。手続きの流れと記入のポイントを解説します。
手続きの流れ
ステップ1:控除証明書を受け取る
毎年10月〜11月頃に、加入している保険会社から「生命保険料控除証明書」がハガキまたは封書で届きます。届かない場合は保険会社に再発行を依頼しましょう。近年は電子的控除証明書(XMLデータ)の発行にも対応している保険会社が増えています。
ステップ2:保険料控除申告書に記入する
勤務先から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」(正式名称:給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書)の「生命保険料控除」欄に以下の項目を記入します。
| 記入項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 保険会社等の名称 | 保険会社の正式名称(証明書に記載) |
| 保険等の種類 | 終身保険・医療保険・個人年金保険 など |
| 保険期間 | 保険の契約期間(終身・10年 など) |
| 保険等の契約者の氏名 | 契約者の氏名 |
| 保険金等の受取人 | 保険金の受取人の氏名と続柄 |
| 新・旧の区分 | 新制度 or 旧制度(証明書に記載) |
| あなたが本年中に支払った保険料等の金額 | 12月末までの年間保険料(証明書の「申告額」) |
ステップ3:控除額を計算して記入する
申告書の下部にある計算欄で、区分ごとの控除額を計算します。新制度と旧制度の両方に該当する保険がある場合は、有利な方を選択して記入します。
ステップ4:証明書を添付して提出する
記入が完了したら、保険料控除証明書(原本)を添付して勤務先に提出します。電子的控除証明書の場合は、電子データを勤務先の指定する方法で提出します。
控除証明書に記載されている金額には「証明額」と「申告額(参考値)」の2つがあります。「証明額」は証明書発行時点までに支払った保険料で、「申告額」は12月末までの年間保険料の見込み額です。年末調整では「申告額」を記入しましょう。年の途中で解約・失効した場合は、実際に支払った金額を記入します。
確定申告での申請方法
以下の方は、年末調整ではなく確定申告で生命保険料控除を申請する必要があります。
確定申告が必要なケース:
・自営業者、フリーランス、個人事業主の方
・年末調整で保険料控除の申請を忘れた会社員の方
・年の途中で退職して年末調整を受けていない方
・2か所以上から給与を受けている方
・医療費控除など他の控除も併せて申告する方
確定申告での手続き
確定申告書の「所得から差し引かれる金額」のうち「生命保険料控除」欄に、支払保険料の金額と計算した控除額を記入します。国税庁の確定申告書等作成コーナー(e-Tax)を利用すれば、保険料の金額を入力するだけで控除額が自動計算されるのでおすすめです。
提出書類として、保険料控除証明書(原本)を添付します。e-Taxで電子申告する場合は、電子的控除証明書(XMLデータ)を使えば原本の郵送が不要です。マイナポータル連携を利用すれば、保険料控除証明書のデータを自動取得することもできます。
年末調整で生命保険料控除の申請を忘れた場合でも、翌年の1月31日までであれば勤務先に申し出て年末調整のやり直し(再年末調整)が可能です。それを過ぎた場合は、確定申告(還付申告)を行えば5年以内であれば遡って控除を受けられます。
保険料控除証明書の見方
保険会社から届く保険料控除証明書は、年末調整や確定申告に不可欠な書類です。証明書の読み方のポイントを解説します。
確認すべき主な項目:
| 項目 | 内容 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 適用制度 | 新制度 or 旧制度 | 契約日で自動的に決まる |
| 保険料控除の区分 | 一般 / 介護医療 / 個人年金 | 申告書のどの欄に記入するか |
| 証明額 | 発行日時点の支払済保険料 | 9月末や10月末までの実績 |
| 申告額(参考値) | 12月末までの年間見込保険料 | 年末調整ではこの金額を使用 |
| 配当金 | 年間の配当金額 | 差引後の保険料で計算 |
複数の保険に加入している場合は、それぞれの保険会社から控除証明書が届きます。同じ区分の保険料は合算して申告書に記入しましょう。たとえば、A社の医療保険(介護医療保険料控除)とB社のがん保険(介護医療保険料控除)がある場合、2つの保険料を合計した金額で控除額を計算します。
保険料控除証明書を紛失した場合は、加入している保険会社のコールセンターまたはWebサイトから再発行を依頼できます。再発行には1〜2週間程度かかることが多いため、年末調整の提出期限に間に合うよう早めに手続きしましょう。
保険料の金額を入力するだけで、新制度・旧制度の控除額と節税効果を自動計算します。
節税効果シミュレーション(年収別)
生命保険料控除を最大限活用した場合(所得税控除12万円・住民税控除7万円)の年収別の節税額をシミュレーションしました。
| 年収 | 所得税率 | 所得税の節税額 | 住民税の節税額 | 合計節税額 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 10% | 12,000円 | 7,000円 | 19,000円 |
| 400万円 | 10% | 12,000円 | 7,000円 | 19,000円 |
| 500万円 | 20% | 24,000円 | 7,000円 | 31,000円 |
| 600万円 | 20% | 24,000円 | 7,000円 | 31,000円 |
| 700万円 | 23% | 27,600円 | 7,000円 | 34,600円 |
| 800万円 | 23% | 27,600円 | 7,000円 | 34,600円 |
| 1,000万円 | 33% | 39,600円 | 7,000円 | 46,600円 |
上記のとおり、所得税率が高い高所得者ほど節税効果が大きくなります。年収500万円の方で年間約3.1万円、年収1,000万円の方で年間約4.7万円の節税となります。控除上限に達するために必要な年間保険料は各区分8万円×3区分=24万円(月2万円)ですから、保険料に対する実質的な節税還元率は約8〜19%にもなります。
ただし、節税のためだけに不要な保険に加入するのは本末転倒です。まずは自分に必要な保障内容を見極めたうえで、その保険料に対して適切に控除を受けることが大切です。
上記の所得税の節税額には復興特別所得税(所得税額の2.1%)の軽減分は含めていません。実際にはさらに若干の節税効果がありますが、差額はわずかです。復興特別所得税は2037年分まで課税されます。
あなたの保険料から控除額・節税効果を自動計算。確定申告が必要かどうかの判定もできます。
よくある質問
- 新制度(2012年1月1日以降の契約)では、一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除の各区分で最大4万円、3区分合計で最大12万円が所得税の控除上限額です。住民税の場合は各区分最大2.8万円、合計で最大7万円となります。
- 新制度は2012年1月1日以降に締結した保険契約に適用され、一般・介護医療・個人年金の3区分(各上限4万円、合計12万円)です。旧制度は2011年12月31日以前の契約に適用され、一般・個人年金の2区分(各上限5万円、合計10万円)です。新制度では介護医療保険料控除が新設された代わりに、各区分の上限額が5万円から4万円に引き下げられました。
- 毎年10〜11月頃に保険会社から届く「生命保険料控除証明書」を用意し、勤務先から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入して、控除証明書を添付して提出します。記入する項目は、保険会社名・保険の種類・保険期間・保険料額・新旧制度の区分などです。
- 新制度の場合、年間保険料が8万円を超えると控除額は一律4万円(上限額)になります。つまり、保険料をいくら増やしても控除額は4万円以上にはなりません。節税効果を最大化するなら、1つの区分に集中させるより3区分にバランスよく配分する方が合計控除額を大きくできます。
- 節税額は適用される税率によって異なります。たとえば所得税率10%の方が控除上限の12万円を適用できる場合、所得税で1.2万円、住民税(税率10%・控除上限7万円)で0.7万円、合計で年間約1.9万円の節税となります。所得税率20%の方なら所得税で2.4万円、住民税と合わせて年間約3.1万円の節税効果があります。