手取り計算の完全ガイド2026|給与から引かれる税金・社保を徹底解説
最終更新: 2026年3月
「給与明細を見ても、何がいくら引かれているかよくわからない」「額面と手取りがこんなに違うのはなぜ?」――そんな疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、手取り額の計算方法を基礎から徹底的に解説します。給与から差し引かれる5つの項目の仕組み、2026年税制改正の影響、年収別の手取り早見表、ボーナスの手取り計算、そして手取りを増やすための具体的な方法まで、すべてを網羅した完全ガイドです。
手取りとは?総支給額(額面)との違い
「手取り」とは、会社から支給される給与の総額(額面・総支給額)から、税金や社会保険料などを差し引いた実際に銀行口座に振り込まれる金額のことです。
手取り = 額面(総支給額) - 所得税 - 住民税 - 健康保険料 - 厚生年金保険料 - 雇用保険料
一般的に、手取りは額面の75〜85%程度になります。年収が高くなるほど税率が上がるため、手取り率は下がる傾向にあります。
給与明細には「総支給額」と「差引支給額(手取り)」が記載されています。総支給額には基本給のほか、残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当などの各種手当が含まれます。ここからさまざまな控除が差し引かれた結果が、あなたの手取りとなります。
額面と手取りの差はなぜこんなに大きいのか
たとえば月給30万円(年収360万円)の場合、手取りは約24万円です。約6万円、つまり20%以上が差し引かれていることになります。この差額の内訳を理解することが、手取りを正しく把握し、増やすための第一歩です。
なお、通勤手当は一定額(月15万円)まで非課税です。通勤手当が含まれた総支給額から手取りを計算する場合、通勤手当は社会保険料の計算には含まれますが、所得税・住民税の計算からは除かれるという点に注意が必要です。
年収を入力するだけで、税金・社会保険料の内訳と手取り額を自動で計算します。
給与から引かれる5つの項目
給与から差し引かれる項目は大きく分けて「税金」と「社会保険料」の2種類です。それぞれの仕組みと計算方法を詳しく見ていきましょう。
1. 所得税
所得税は、1年間の所得(収入から経費や各種控除を引いた額)に対して課される国税です。給与所得者の場合は「源泉徴収」として毎月の給与やボーナスから天引きされ、年末調整で精算されます。
所得税の計算の流れは以下のとおりです。
まず、年収から「給与所得控除」を差し引いて給与所得を算出します。2026年の給与所得控除は最低65万円(年収162.5万円以下の場合)で、年収に応じて増加し、年収850万円超では上限195万円となります。
次に、給与所得から基礎控除や配偶者控除などの「所得控除」を差し引いて「課税所得」を計算します。この課税所得に対して、以下の累進税率が適用されます。
| 課税所得 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万超〜330万円 | 10% | 97,500円 |
| 330万超〜695万円 | 20% | 427,500円 |
| 695万超〜900万円 | 23% | 636,000円 |
| 900万超〜1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万超〜4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
さらに、2037年まで復興特別所得税として所得税額の2.1%が上乗せされます。
所得税は「累進課税」であるため、年収が高くなるほど税率が上がります。ただし、全額に高い税率がかかるわけではなく、各段階の所得に対してそれぞれの税率が適用されます。たとえば課税所得400万円の場合、195万円までが5%、195〜330万円が10%、330〜400万円が20%となります。
2. 住民税
住民税は、都道府県と市区町村に納める地方税です。前年の所得に基づいて計算され、翌年6月から翌々年5月にかけて毎月の給与から天引き(特別徴収)されます。
住民税の税率は一律10%(都道府県民税4% + 市区町村民税6%)です。所得税と同様に各種控除が適用されますが、控除額が若干異なります(基礎控除は所得税48万円に対し住民税43万円が基本)。
さらに、住民税には「均等割」があり、所得に関係なく年間約5,000円(自治体により異なる)が課されます。2024年度から「森林環境税」1,000円が追加されています。
住民税は前年の所得に基づくため、新卒1年目は住民税がかかりません。2年目の6月から住民税の天引きが始まるため、「2年目で手取りが減った」と感じる方が多くいます。
3. 健康保険料
健康保険は、病気やケガで医療機関を受診したときに医療費の自己負担を軽減するための公的保険制度です。会社員は健康保険組合または協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入します。
保険料率は協会けんぽの場合、都道府県ごとに異なり、約9.3〜10.5%(2026年度)です。この半分を会社が負担するため、本人負担は約4.65〜5.25%となります。さらに40歳以上65歳未満の方は介護保険料(約1.6%、本人負担は半分の約0.8%)が加算されます。
保険料は「標準報酬月額」に基づいて計算されます。標準報酬月額は4〜6月の給与の平均額をもとに決定され、その年の9月から翌年8月まで適用されます。そのため、4〜6月に残業が多いと保険料が上がる可能性があります。
4. 厚生年金保険料
厚生年金保険は、老後の年金や障害年金、遺族年金を支給するための公的年金制度です。会社員は国民年金(基礎年金)に加えて厚生年金にも加入します。
保険料率は18.3%で、2017年以降固定されています。会社と折半のため、本人負担は9.15%です。健康保険と同じく標準報酬月額をベースに計算されます。
標準報酬月額には上限があり、65万円(月額報酬63.5万円以上)が上限です。そのため、年収約780万円以上の方は厚生年金保険料が頭打ちになります(月額59,475円が上限)。
5. 雇用保険料
雇用保険は、失業した場合の失業給付や、育児休業給付、教育訓練給付などを支給する制度です。一般の事業の場合、2026年度の本人負担率は0.55%です(事業主負担は0.95%)。
雇用保険料は毎月の総支給額(通勤手当を含む)に料率をかけて計算されるため、残業が多い月は雇用保険料も増えます。他の社会保険料と比べると金額は小さいですが、毎月確実に差し引かれる項目です。
年収ダッシュボードでは、税金・社会保険料の各項目の金額と割合を一覧で確認できます。
2026年税制改正の影響
2026年の税制改正は、多くの給与所得者の手取りに影響を与える重要な変更です。ここでは手取りに直結する3つの改正ポイントを解説します。
基礎控除の引き上げ(48万→最大95万円)、給与所得控除の最低額引き上げ(55万→65万円)、年収の壁の変更(103万→178万円)の3つが柱です。
基礎控除95万円への引き上げ
これまで一律48万円だった所得税の基礎控除が、合計所得金額に応じて最大95万円に引き上げられました。合計所得132万円以下の方が95万円の控除を受けられ、所得が上がるにつれて段階的に縮小されます。合計所得850万円超〜2,400万円以下の方は従来どおり48万円です。
具体的な影響として、年収400万円(合計所得約276万円)の独身の方は基礎控除が48万円から88万円に+40万円増加し、所得税率10%の場合で年間約4万円の減税効果があります。
給与所得控除の最低額引き上げ
給与所得控除の最低額が55万円から65万円に引き上げられ、すべての給与所得者が10万円分多く控除を受けられるようになりました。年収162.5万円以下の方の場合、給与所得控除は65万円となります。
年収の壁103万→178万円
基礎控除の引き上げと給与所得控除の引き上げにより、所得税の非課税ラインが103万円から160万円に、特定扶養控除等を含めると178万円に引き上げられました。パートやアルバイトの方が税金を気にせず働ける範囲が大幅に広がりました。ただし、社会保険の壁(106万円/130万円)は変更されていないため注意が必要です。
改正前後であなたの手取りがどう変わるか、具体的な金額で確認できます。
年収別の手取り早見表(300万〜1,000万)
以下は、独身・扶養なし・東京都在住・協会けんぽ加入・40歳未満を前提とした2026年の手取り概算額です。
| 年収(額面) | 手取り(年額) | 手取り(月額) | 手取り率 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約240万円 | 約20.0万円 | 約80.0% |
| 400万円 | 約319万円 | 約26.6万円 | 約79.8% |
| 500万円 | 約394万円 | 約32.8万円 | 約78.8% |
| 600万円 | 約465万円 | 約38.8万円 | 約77.5% |
| 700万円 | 約532万円 | 約44.3万円 | 約76.0% |
| 800万円 | 約596万円 | 約49.7万円 | 約74.5% |
| 900万円 | 約658万円 | 約54.8万円 | 約73.1% |
| 1,000万円 | 約719万円 | 約59.9万円 | 約71.9% |
上記はボーナスなし(月給のみ)の場合の概算値です。ボーナスがある場合は社会保険料の計算方法が異なるため、手取り額も変動します。配偶者控除・住宅ローン控除・ふるさと納税などの控除を適用している場合は手取りが増加します。正確な金額は手取り計算ツールでお確かめください。
表からわかるとおり、年収が上がるにつれて手取り率は低下していきます。年収300万円では約80%が手取りになりますが、年収1,000万円では約72%まで下がります。これは所得税の累進課税(税率が5%→20%→23%と上がる)と、社会保険料の影響によるものです。
また、年収800万円前後で厚生年金保険料が上限に達するため、それ以上の年収では社会保険料の負担増が緩やかになります。一方で所得税率は引き続き上がるため、税金の負担感は大きくなります。
扶養家族・各種控除・居住地の社会保険料率を加味した正確な手取りを計算できます。
ボーナスの手取り計算方法
ボーナス(賞与)の手取り計算は、毎月の給与とは異なる仕組みです。ボーナスから差し引かれるのは社会保険料と所得税のみで、住民税は引かれません。
ボーナスから引かれる項目
社会保険料:健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料が差し引かれます。料率は月給と同じですが、計算の基礎となる金額は「標準賞与額」(ボーナスの額面から千円未満を切り捨てた額)です。なお、厚生年金保険料の賞与にかかる上限は「1回あたり150万円」です。
所得税:ボーナスの所得税は、前月の給与から社会保険料を引いた金額に基づいて「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から税率が決まります。この税率をボーナスの額面から社会保険料を引いた額にかけて計算します。
ボーナスの手取り計算例
たとえば、ボーナス額面50万円、前月の給与30万円(社保控除後25万円)、独身の場合を計算してみましょう。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ボーナス額面 | 500,000円 |
| 健康保険料(約5.0%) | -25,000円 |
| 厚生年金保険料(9.15%) | -45,750円 |
| 雇用保険料(0.55%) | -2,750円 |
| 社保控除後金額 | 426,500円 |
| 所得税(税率6.126%) | -26,127円 |
| 手取り | 約400,373円(約80.1%) |
ボーナスの額面を入力するだけで、手取り額と控除の内訳を自動計算します。
手取りを増やす5つの方法
手取りを増やすには、給与の額面を上げる以外にも、税金を合法的に減らす(節税する)方法があります。ここでは会社員でもできる代表的な5つの方法を紹介します。
ふるさと納税
自己負担2,000円で自治体の返礼品(寄付額の30%相当)を受け取れる制度です。年収500万円・独身の場合、限度額は約6.1万円。返礼品として米や肉、日用品を選べば、実質的に年間約1.6万円相当の節約になります。ワンストップ特例を使えば確定申告は不要です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
掛金が全額所得控除になる私的年金制度です。会社員の場合、月額1.2万〜2.3万円の掛金を拠出できます(企業年金の有無で異なる)。月2万円を掛けた場合、所得税率10%・住民税率10%で年間約4.8万円の節税になります。ただし60歳まで引き出せない点に注意が必要です。
医療費控除
年間の医療費が10万円(所得200万円未満の場合は所得の5%)を超えた場合に、超過分が所得控除になります。歯科矯正やレーシック、不妊治療なども対象です。家族全員分の医療費を合算できるので、年間の合計が意外と10万円を超えることもあります。確定申告が必要です。
生命保険料控除
生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料が、それぞれ最大4万円(合計最大12万円)の所得控除になります。年末調整で申告できるので手軽です。所得税率10%の方で最大約2.4万円の節税になります。
住宅ローン控除
住宅ローンを組んで自宅を購入した場合、ローン残高の0.7%が最大13年間にわたって税額控除されます。たとえば3,000万円のローン残高がある場合、年間21万円が税金から直接差し引かれます。所得控除ではなく税額控除のため、節税効果が非常に大きいのが特徴です。
年収500万円・独身の方がふるさと納税(限度額6.1万円)、iDeCo(月2万円)、生命保険料控除(上限12万円)を活用した場合、年間の節税額は合計で約8〜10万円になります。さらに住宅ローン控除があれば20万円以上の節税も可能です。詳しくは節税ガイドをご覧ください。
あなたの年収・家族構成に合った節税プランをシミュレーションできます。
よくある質問
- 額面(総支給額)は基本給・各種手当・残業代など会社から支給される全額です。手取りは額面から所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を差し引いた、実際に銀行口座に振り込まれる金額です。一般的に手取りは額面の75〜85%程度になります。
- 年収500万円(独身・扶養なし・東京都在住)の手取りは約394万円です。月額にすると約32.8万円です。内訳は所得税約14万円、住民税約24万円、健康保険料約25万円、厚生年金保険料約37万円、雇用保険料約2.8万円です。ただし扶養家族の有無や居住地域で変動します。
- ボーナスの手取りは、額面から社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)と所得税を引いた額です。住民税はボーナスからは引かれません。社会保険料率は月給と同じですが、所得税率は前月の給与額に基づく「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で決まります。一般的にボーナスの手取りは額面の75〜85%程度です。
- はい、2026年の税制改正では基礎控除が48万円から最大95万円に引き上げられ、給与所得控除の最低額も55万円から65万円に増えました。これにより、ほとんどの給与所得者で年間1〜5万円程度の手取り増が見込まれます。特に年収が低い方ほど恩恵が大きくなります。
- 合法的に手取りを増やすには、各種控除の活用が効果的です。ふるさと納税(実質負担2,000円で返礼品を受け取れる)、iDeCo(掛金全額が所得控除)、医療費控除(年間10万円超の医療費)、生命保険料控除、住宅ローン控除などがあります。年収500万円の会社員がふるさと納税とiDeCoを活用すると、年間5〜10万円程度の節税効果が期待できます。