給与明細の基礎知識
給与明細は大きく「支給」「控除」「差引支給額」の3つに分かれています。ここでは、各項目の意味と注意すべきポイントを詳しく解説します。
支給項目の解説
基本給
月給の基本部分で、給与明細で最も重要な項目です。残業代の計算基礎(時間単価 = 基本給 ÷ 月平均所定労働時間)や、退職金・賞与の計算基準になることが多いため、転職時には基本給の割合にも注目しましょう。「基本給が低く、手当が多い」構成だと、残業代や退職金が少なくなる可能性があります。
残業手当(時間外手当)
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いた場合に支給されます。割増率は通常の残業で25%以上、深夜(22時〜5時)は50%以上、法定休日は35%以上です。固定残業代(みなし残業代)が含まれている場合は、それを超えた分が追加で支給されるか確認しましょう。
通勤手当
通勤にかかる交通費の実費または定額支給です。月15万円までは非課税で所得税がかかりませんが、社会保険料の計算(標準報酬月額の算定)には含まれる点に注意が必要です。つまり、通勤手当が多いと社会保険料が高くなる場合があります。
住宅手当・家族手当・資格手当
これらは会社独自の手当で、法律上の支給義務はありません。住宅手当の相場は1〜3万円、家族手当は配偶者1〜2万円・子1人5千〜1万円程度です。いずれも課税対象であり、社会保険料の計算にも含まれます。求人票を見る際は、基本給と手当の内訳を確認することが大切です。
控除項目の解説
健康保険料
病気やケガの際の医療費自己負担を3割に抑えるための保険料です。標準報酬月額に保険料率をかけた金額を会社と折半して負担します。協会けんぽ(全国健康保険協会)の場合、2026年度の料率は都道府県によって異なり、東京都は約9.98%(自己負担は約5%)です。40歳以上は介護保険料(約1.6%、自己負担約0.8%)が加算されます。4〜6月の給与額をもとに毎年9月に標準報酬月額が改定されるため、この時期の残業が多いと翌年の保険料が高くなります。
厚生年金保険料
将来の老齢年金・障害年金・遺族年金の財源となる保険料です。料率は18.3%で固定されており、会社と折半のため自己負担は9.15%です。標準報酬月額に応じて金額が決まります。厚生年金保険料を多く払うほど将来受け取る年金額が増えるため、単なる「引かれるお金」ではなく「将来への積立」と考えることもできます。
雇用保険料
失業した際の失業手当(基本手当)や、育児休業給付金、教育訓練給付金の財源です。2026年度の一般事業の労働者負担率は0.6%で、毎月の賃金総額(通勤手当を含む)に対してかかります。建設業は0.7%と業種により異なる場合があります。
所得税(源泉徴収税額)
毎月の給与から概算で天引きされる所得税です。「源泉徴収税額表」に基づき、課税対象額(総支給額 - 非課税通勤手当 - 社会保険料)と扶養親族の数で決まります。あくまで概算なので、年末調整で年間の正確な税額と比較し、過不足が精算されます(12月の給与で還付されることが多い)。
住民税(特別徴収)
前年1月〜12月の所得に基づき、翌年6月〜翌々年5月にかけて12分割で天引きされます。そのため、前年に収入がなかった入社1年目は住民税が0円です。2年目の6月から住民税の天引きが始まるため、「2年目で手取りが減った」と感じる方が多くいます。税率は一律10%(市区町村民税6% + 都道府県民税4%)です。