医師の手取りはいくら?2026年版|勤務医・開業医の税金と手取り

最終更新: 2026年3月

医師は高収入職業の代表格ですが、高年収帯では所得税率が最大45%に達するため、「思ったより手取りが少ない」と感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、勤務医・開業医それぞれの税金の仕組みと年収別の手取りを解説し、効果的な節税対策も紹介します。

勤務医vs開業医の税金の違い

医師の手取りを考える上で、まず勤務医と開業医では税金の仕組みが根本的に異なることを理解する必要があります。

項目 勤務医 開業医(個人) 開業医(医療法人)
所得の種類 給与所得 事業所得 役員報酬(給与所得)
経費 給与所得控除のみ 実額で計上可 法人で計上+給与所得控除
最高税率 所得税45%+住民税10% 所得税45%+住民税10% 法人税約23%+個人の税率
社会保険 健保・厚生年金(労使折半) 国保・国民年金 健保・厚生年金(法人負担あり)
退職金 勤務先の規定による なし(小規模企業共済等) 役員退職金を法人経費で積立可
ポイント

勤務医の給与所得控除は年収850万円超で上限195万円です。年収1,500万円の勤務医の場合、経費として認められるのは195万円のみ。一方、開業医は医療機器・人件費・賃料などを実額で経費にできるため、課税所得を大幅に圧縮できます。

開業医の概算経費率(社会保険診療報酬の特例)

社会保険診療報酬が年間5,000万円以下の開業医には「概算経費率」の特例(措置法26条)が適用できます。これは実際の経費にかかわらず、収入に応じた概算経費を計上できる制度です。

社会保険診療報酬 概算経費率
2,500万円以下 72%
2,500万〜3,000万円 70%
3,000万〜4,000万円 62%
4,000万〜5,000万円 57%

高年収帯(1000万〜2000万)の税負担率

医師の多くが該当する年収1,000万〜2,000万円帯では、累進課税により税負担が急激に重くなります。以下は勤務医(独身・40歳未満)を想定した概算です。

年収 所得税 住民税 社会保険料 手取り 手取り率
1,000万円 約84万円 約63万円 約130万円 約723万円 72.3%
1,200万円 約120万円 約83万円 約155万円 約842万円 70.2%
1,500万円 約195万円 約108万円 約170万円 約1,027万円 68.5%
1,800万円 約285万円 約138万円 約175万円 約1,202万円 66.8%
2,000万円 約350万円 約158万円 約178万円 約1,314万円 65.7%

年収1,000万円から2,000万円に倍増しても、手取りは723万円→1,314万円と約1.8倍にしかなりません。1,000万円の増加分のうち、約410万円が税金と社会保険料で消える計算です。

注意

年収2,000万円を超えると年末調整ができません。確定申告が必須となり、ふるさと納税のワンストップ特例も使えなくなります。

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当直・バイトの税務処理

多くの勤務医が本業以外に当直やアルバイトで収入を得ています。これらの税務上の取り扱いを正しく理解しておくことが重要です。

2か所以上の給与がある場合

本業の病院以外から給与を受けている場合、確定申告が必要です(副収入が年間20万円超の場合)。バイト先の給与は本業の給与と合算されるため、バイト収入には本業の最高税率が適用される点に注意してください。

例えば本業の年収が1,500万円(所得税率33%帯)の勤務医が月1回の当直で年間120万円のバイト収入がある場合、バイト収入120万円のうち約53万円(所得税33%+住民税10%+復興特別所得税)が税金となります。

源泉徴収と確定申告

バイト先では「乙欄」で源泉徴収されるのが一般的です。乙欄の源泉徴収率は一律ではなく、支給額に応じて3.063〜45.945%が徴収されます。確定申告で本業の給与と合算し、過不足を精算します。多くの場合、乙欄は税率が高めに設定されているため、確定申告で還付になるケースもあります。

当直料の相場

一般的な当直料の相場は、平日当直で3〜5万円、休日当直で5〜10万円程度です。救急対応ありの場合はさらに高額になります。当直回数が多い医師は年間数百万円の副収入になりますが、その分税金も高くなるため、手取りベースで考えることが大切です。

節税対策(特定支出控除・法人化検討)

高年収の医師にとって、合法的な節税対策は手取りを大きく改善する手段です。主な方法を紹介します。

1. 特定支出控除

給与所得者が業務に関連する支出が給与所得控除の1/2を超えた場合、超えた分を控除できる制度です。医師は学会参加費(旅費含む)・医学書・研修費が高額になりやすいため、活用できる可能性があります。

年収1,500万円の場合、給与所得控除の1/2は97.5万円。年間の学会参加費・書籍代・研修費が100万円かかっていれば、2.5万円の特定支出控除が受けられます。ただし、勤務先の証明書が必要な点に注意してください。

2. ふるさと納税

高年収の医師はふるさと納税の控除上限額も大きくなります。年収1,500万円(独身)の場合、上限は約39万円。年収2,000万円なら約56万円です。実質2,000円の負担で各地の返礼品を受け取れるため、必ず活用すべき制度です。

3. iDeCo(個人型確定拠出年金)

勤務医の場合、企業年金の有無により掛金上限が異なります。上限いっぱい拠出した場合の節税効果は、税率33%帯の医師で年間約5〜27万円の節税になります。

4. 不動産投資

減価償却費による赤字を給与所得と損益通算できるため、高税率の医師にとって節税効果が大きくなります。ただし、投資リスクが伴うため、節税目的だけでなく投資としての収益性も慎重に検討してください。

5. 医療法人化の検討

開業医の場合、所得が一定額を超えると医療法人化による節税メリットが生まれます。

法人化のメリット

・法人税の実効税率(約23〜30%)は個人の最高税率(55%)より低い
・役員報酬として給与所得控除が使える
・退職金を法人経費として積み立てられる
・生命保険料を法人経費にできる

一般的に所得(売上−経費)が2,000万円を超えるあたりから法人化のメリットが出始めます。ただし、設立費用(約100万円)、社会保険料の事業主負担増、事務コスト増なども考慮する必要があります。

年収別手取り表

以下は勤務医(給与所得者・独身・40歳未満・扶養なし)の年収別手取りの概算一覧です。

年収 税金+社保合計 手取り 手取り率
800万円 約222万円 約578万円 72.2%
1,000万円 約277万円 約723万円 72.3%
1,200万円 約358万円 約842万円 70.2%
1,500万円 約473万円 約1,027万円 68.5%
1,800万円 約598万円 約1,202万円 66.8%
2,000万円 約686万円 約1,314万円 65.7%
2,500万円 約941万円 約1,559万円 62.4%
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よくある質問Q&A

勤務医の年収1500万円の手取りはいくらですか?
独身・40歳未満の場合、手取りは約1,020万〜1,050万円程度です。所得税約195万円、住民税約108万円、社会保険料約150〜180万円が差し引かれます。手取り率は約68〜70%です。
勤務医と開業医はどちらが手取りが多いですか?
開業医は経費を計上できるため課税所得を抑えやすい一方、設備投資・人件費などの実際の経費負担もあります。医療法人化すると法人税率の適用で高所得帯の税負担を軽減できますが、社会保険料の事業主負担も発生します。
当直やアルバイトの収入の税金はどうなりますか?
他の病院での当直・バイト収入は本業の給与と合算されるため、本業の最高税率が適用されます。年間20万円超の副収入がある場合は確定申告が必要です。
医師にできる節税対策は何がありますか?
特定支出控除(学会費・書籍代)、ふるさと納税(高年収ほど上限大)、iDeCo、不動産投資、開業医の場合は医療法人化の検討などがあります。
医師が法人化するメリットは何ですか?
法人税率(約23%)は個人の最高税率(55%)より低く、役員報酬で給与所得控除が使え、退職金を経費にできます。概ね所得2,000万円以上で検討するのが一般的です。
出典・参考資料