公務員の給与・ボーナス・退職金ガイド2026|俸給表から手取りまで
最終更新: 2026年3月
「公務員の給与はどのように決まるのか?」「民間企業と比べてボーナスや退職金はどれくらい違うのか?」――こうした疑問をお持ちの方は少なくないでしょう。公務員の給与は「俸給表」という独特の体系で決まり、民間とは異なる手当や社会保険(共済組合)の仕組みがあります。この記事では、公務員の給与体系を基礎から徹底解説します。俸給表の読み方、各種手当の種類と金額、ボーナス(期末・勤勉手当)の計算方法、共済組合の保険料、退職金計算、そして年金制度まで、2026年最新の情報をもとに網羅的にお伝えします。
公務員の給与体系(俸給表の仕組み)
公務員の給与は「俸給(ほうきゅう)」と「手当」の2つで構成されます。民間企業でいう「基本給」にあたるのが俸給であり、「俸給表」という一覧表に基づいて金額が決まります。
俸給表とは
俸給表は、「級」と「号俸」の2つの軸で構成される給与の一覧表です。国家公務員の場合、人事院が作成し、法律(一般職の職員の給与に関する法律)で定められています。
級は職務の複雑さ・困難さ・責任の度合いに応じて区分されます。一般行政職(行政職俸給表(一))の場合、1級(係員)から10級(事務次官級)まであります。昇格(級が上がること)は、一定の勤務年数と人事評価を経て行われます。
号俸は、同じ級の中での経験や勤務実績に応じた細かな区分です。毎年1月1日に定期昇給があり、標準的な成績であれば4号俸ずつ昇給します。良好な成績であれば6号俸、極めて優秀であれば8号俸の昇給もあります。
行政職俸給表(一)・3級25号俸の場合、3級は「係長級」を意味し、25号俸は経験年数に応じた位置を示します。この交差する金額(例:約28万円)があなたの俸給月額です。
俸給表には複数の種類があり、行政職(一)(一般事務)、行政職(二)(技能職)、専門行政職、税務職、公安職(一)(二)、教育職、研究職、医療職など、職種に応じた俸給表が適用されます。公安職や医療職は行政職より高めの俸給設定となっています。
国家公務員の俸給月額の目安
| 級 | 役職段階の目安 | 俸給月額の目安 |
|---|---|---|
| 1級 | 係員(新採用) | 約19〜25万円 |
| 2級 | 主任 | 約24〜32万円 |
| 3級 | 係長 | 約27〜36万円 |
| 4級 | 課長補佐 | 約32〜40万円 |
| 5級 | 課長補佐(上位) | 約36〜42万円 |
| 6級 | 室長・課長 | 約38〜45万円 |
| 7〜10級 | 課長〜局長級 | 約41〜55万円 |
地方公務員も国の俸給表に準じた「給料表」を定めていますが、自治体の規模や財政状況によって水準が異なります。一般的に政令指定都市は国と同水準かやや高め、小規模自治体はやや低めの傾向があります。
2025年の人事院勧告では、初任給の大幅引き上げ(大卒+約1万2,000円)と若年層の俸給月額の引き上げが実施されました。民間企業の賃上げの流れを受け、公務員の給与も改善が続いています。また、ボーナスも年間4.50月分に引き上げられています。
各種手当(地域手当・扶養手当・住居手当など)
公務員の給与には俸給に加えて多数の手当が設けられています。これらは民間企業の手当と同様、生活状況や勤務条件に応じて支給されるものです。手当の合計は俸給月額の20〜40%程度になることが多く、手取りに大きく影響します。
地域手当
地域手当は、民間賃金が高い地域に勤務する職員に支給される手当です。地域の民間賃金水準に応じて、俸給月額等の0%〜20%が支給されます。東京都特別区は最高の20%、大阪市は16%、名古屋市は15%など、全国の市町村ごとに支給割合が定められています。地域手当は俸給に次ぐ大きな手当であり、勤務地による手取りの差を生む最大の要因です。
| 支給割合 | 主な地域(例) |
|---|---|
| 20% | 東京都特別区 |
| 16% | 大阪市、横浜市 |
| 15% | 名古屋市、さいたま市 |
| 12% | 千葉市、神戸市 |
| 10% | 京都市、広島市 |
| 6% | 福岡市、仙台市 |
| 3% | 札幌市、静岡市 |
| 0% | 上記以外の地域 |
扶養手当
扶養手当は、扶養親族がいる職員に支給されます。2026年現在の支給額は以下のとおりです。
| 扶養親族の区分 | 月額 |
|---|---|
| 配偶者 | 6,500円 |
| 子(1人につき) | 10,000円 |
| 子(16〜22歳)加算 | +5,000円 |
| 父母等(1人につき) | 6,500円 |
なお、人事院の勧告により、近年は配偶者手当の縮小と子に対する手当の拡充が進んでいます。子育て世帯への支援を手厚くする方向への改革が続いています。
住居手当
住居手当は、賃貸住宅に居住する職員に対して最大28,000円が支給されます。家賃が16,000円を超える場合に支給対象となり、計算式は「(家賃 - 16,000円)×1/2 + 11,000円」(上限28,000円)です。持ち家には支給されません(2009年廃止)。地方公務員では自治体により独自の基準があります。
その他の主な手当
| 手当名 | 概要 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 通勤手当 | 通勤に要する費用 | 実費(月55,000円上限) |
| 超過勤務手当 | 残業に対する手当 | 時間単価×125〜150% |
| 管理職手当 | 管理職への手当 | 俸給の10〜25% |
| 単身赴任手当 | 単身赴任者への手当 | 30,000円+距離加算 |
| 寒冷地手当 | 寒冷地勤務者への手当 | 7,360〜26,380円/月 |
| 特殊勤務手当 | 危険・困難な業務 | 業務内容による |
年収・俸給を入力して、公務員の手取り額と控除内訳を自動計算できます。
期末・勤勉手当(ボーナス)の計算方法
公務員のボーナスは「期末手当」と「勤勉手当」の2つで構成されます。民間企業のように「基本給の○ヶ月分」と一律ではなく、それぞれ異なる計算方法で算出されます。支給時期は6月30日と12月10日の年2回です。
期末手当
期末手当は、基準日(6月1日・12月1日)に在職する職員に対して支給される手当で、民間の「基本ボーナス」にあたります。計算式は次のとおりです。
期末手当 = (俸給月額 + 地域手当 + 扶養手当)× 期末手当支給月数 × 在職期間率
2025年改定後の期末手当支給月数は、6月:1.225月、12月:1.225月で年間2.45月分です。
勤勉手当
勤勉手当は、勤務成績に応じて支給される手当で、民間の「業績ボーナス」にあたります。計算式は次のとおりです。
勤勉手当 = (俸給月額 + 地域手当)× 勤勉手当成績率 × 在職期間率
2025年改定後の勤勉手当の成績率(標準)は、6月:1.025月、12月:1.025月で年間2.05月分です。ただし成績に応じて増減があります。
期末手当と勤勉手当を合計すると、年間約4.50月分(2025年改定後)となります。成績が「優秀」以上と評価された職員は、勤勉手当の成績率が引き上げられ、年間5月分を超えることもあります。
ボーナスの具体例
たとえば、俸給月額30万円・地域手当20%(6万円)・扶養手当1万円の職員の場合、12月のボーナスは以下のように計算されます。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 期末手当 | (30万+6万+1万)×1.225 | 約45.3万円 |
| 勤勉手当 | (30万+6万)×1.025 | 約36.9万円 |
| 合計(額面) | - | 約82.2万円 |
| 共済掛金+所得税 | 約18%控除 | 約▲14.8万円 |
| 手取り | - | 約67.4万円 |
ボーナスからは共済組合の短期掛金・長期掛金(厚生年金)と所得税が天引きされます。住民税はボーナスからは引かれません。一般的にボーナスの手取りは額面の約80〜85%程度です。
共済組合の保険料(民間との比較)
民間企業の会社員が「健康保険+厚生年金+雇用保険」に加入するのに対し、公務員は共済組合に加入します。共済組合は医療保険(短期給付)と年金(長期給付)を一体的に運営しています。
共済組合の掛金の種類
| 掛金の種類 | 内容 | 料率の目安(職員負担分) |
|---|---|---|
| 短期掛金 | 医療保険(健康保険に相当) | 約4.0〜5.0% |
| 長期掛金 | 年金保険(厚生年金に一元化) | 9.15% |
| 介護掛金 | 介護保険(40歳以上) | 約0.8〜1.0% |
| 合計 | - | 約14〜15% |
民間企業(協会けんぽ)との比較
2015年10月の被用者年金一元化により、公務員の年金制度は厚生年金に統一されました。長期掛金(年金部分)の保険料率は民間と同じ18.3%(労使折半で職員負担9.15%)です。
| 項目 | 公務員(共済組合) | 会社員(協会けんぽ) |
|---|---|---|
| 医療保険 | 短期掛金 約4.0〜5.0% | 健康保険 約5.0%(都道府県による) |
| 年金 | 長期掛金 9.15% | 厚生年金 9.15% |
| 介護保険 | 約0.8〜1.0% | 約0.8% |
| 雇用保険 | なし | 0.55% |
| 合計 | 約14〜15% | 約15〜16% |
全体としては、公務員の社会保険料負担は民間より若干低い傾向にあります。これは公務員に雇用保険がないこと(失業給付の代わりに退職手当制度がある)と、共済組合の短期掛金率が協会けんぽの健康保険料率よりやや低い場合があるためです。ただし、共済組合ごとに料率が異なるため一概には言えません。
公務員は法律により身分が保障されており、民間のようなリストラや倒産による失業リスクが低いため、雇用保険の適用対象外となっています。ただし退職時には退職手当が支給され、自己都合退職でも一定の退職金が受けられます。また、2025年度から国家公務員にも失業者退職手当が整備され、セーフティネットが拡充されています。
公務員の退職金計算
公務員の退職金(退職手当)は、「基本額」+「調整額」の2つの要素で構成されます。民間企業の退職金と比較して、勤続年数が長いほど有利な制度設計になっています。
退職手当の計算式
退職手当 = 基本額(退職日の俸給月額 × 支給率)+ 調整額
支給率は退職理由(定年・自己都合等)と勤続年数によって定められています。
支給率の目安(定年退職の場合)
| 勤続年数 | 支給率 | 俸給月額35万円の場合 |
|---|---|---|
| 10年 | 8.3350 | 約292万円 |
| 20年 | 25.55625 | 約894万円 |
| 25年 | 33.27075 | 約1,164万円 |
| 30年 | 40.80375 | 約1,428万円 |
| 35年以上 | 47.709 | 約1,670万円 |
上記に加えて「調整額」が加算されます。調整額は在職中の貢献度(職責のポイント)を反映するもので、勤務した各月に職制に応じたポイント(最高で約65,000円/月)が積算されます。最大60月分が退職手当に加算されるため、管理職を長く務めた場合は数百万円の上乗せになります。
退職金の平均額
| 退職理由 | 平均退職手当額 |
|---|---|
| 定年退職 | 約2,112万円 |
| 応募認定退職(早期退職) | 約2,429万円 |
| 自己都合退職 | 約316万円 |
| 全退職者平均 | 約1,058万円 |
自己都合退職の場合は支給率が大幅に低くなります。たとえば勤続10年の自己都合退職では支給率が5.022(定年退職の約60%)となり、若手での退職は退職金面では不利になります。早期退職募集制度(応募認定退職)を利用した場合は支給率に割増(最大45%)があるため、定年退職より高額になることがあります。
退職金は「退職所得」として課税されますが、退職所得控除が適用されるため税負担は軽減されます。勤続20年以下の場合は「40万円×勤続年数」、20年超の場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」が控除されます。たとえば勤続35年の場合、退職所得控除は1,850万円となり、退職金2,100万円なら課税対象は125万円((2,100万円-1,850万円)×1/2)にとどまります。
公務員の年金制度
公務員の年金は、国民年金(基礎年金)+厚生年金の2階建てです。かつては共済年金という独自の制度がありましたが、2015年10月に厚生年金に一元化されました。
年金の2階建て構造
1階部分:国民年金(基礎年金)は、20歳から60歳までの40年間保険料を納付した場合、満額で年約81万6,000円(2025年度、67歳以下の場合)が受給できます。公務員は厚生年金加入者として自動的に国民年金にも加入しているため、保険料は厚生年金保険料に含まれています。
2階部分:厚生年金は、報酬比例部分として、現役時代の給与(標準報酬月額)と加入期間に応じて計算されます。計算式は以下のとおりです。
年金額 = 平均標準報酬月額 × 5.481/1000 × 加入月数
たとえば平均標準報酬月額40万円で38年加入の場合:40万円 × 5.481/1000 × 456月 ≒ 年約100万円
年金受給額の目安
| 平均標準報酬月額 | 加入年数 | 基礎年金 | 厚生年金 | 合計(年額) |
|---|---|---|---|---|
| 30万円 | 38年 | 約82万円 | 約75万円 | 約157万円 |
| 40万円 | 38年 | 約82万円 | 約100万円 | 約182万円 |
| 50万円 | 38年 | 約82万円 | 約125万円 | 約207万円 |
上記は概算であり、実際の受給額は加入歴全体の報酬月額や制度変更の影響を受けます。また、2015年以前の共済年金加入期間については「経過的職域加算額」が加算される場合があります。これは旧共済年金の職域部分の経過措置であり、2015年9月以前の加入期間に対して支給されるものです。
年金払い退職給付
2015年の一元化に伴い、旧職域部分の代わりに「年金払い退職給付」が新設されました。これは公務員の3階部分にあたるもので、付与率に基づくポイント制で積み立てられます。半分が終身年金、半分が有期年金(10年または20年)として支給されます。将来的には月額1〜2万円程度の上乗せが見込まれます。
公務員もiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入できます。2024年12月からは拠出限度額が月12,000円から月20,000円に引き上げられました。掛金は全額所得控除の対象となるため、節税しながら老後資金を積み立てることができます。年間24万円の掛金で、所得税率20%・住民税率10%の場合、年間約7.2万円の節税効果があります。
公務員の手取りシミュレーション
ここまでの情報をもとに、代表的なケースの手取り額をシミュレーションしてみましょう。
ケース1:若手職員(大卒5年目・独身・東京特別区勤務)
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 俸給月額(2級15号俸程度) | 約255,000円 |
| 地域手当(20%) | 約51,000円 |
| 住居手当 | 28,000円 |
| 通勤手当 | 15,000円 |
| 総支給額 | 約349,000円 |
| 共済短期掛金 | 約▲15,000円 |
| 厚生年金保険料 | 約▲30,000円 |
| 所得税 | 約▲8,000円 |
| 住民税 | 約▲16,000円 |
| 手取り | 約280,000円 |
ケース2:中堅職員(係長・38歳・配偶者+子1人・地方都市勤務)
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 俸給月額(3級30号俸程度) | 約310,000円 |
| 地域手当(6%) | 約18,600円 |
| 扶養手当(配偶者+子1人) | 16,500円 |
| 住居手当 | 28,000円 |
| 通勤手当 | 10,000円 |
| 総支給額 | 約383,100円 |
| 共済短期掛金 | 約▲16,000円 |
| 厚生年金保険料 | 約▲32,000円 |
| 所得税 | 約▲8,500円 |
| 住民税 | 約▲17,000円 |
| 手取り | 約309,600円 |
上記はあくまで概算です。実際の金額は所属する共済組合の掛金率、超過勤務手当の有無、その他の控除(財形貯蓄・生命保険料の給与天引き等)によって変動します。正確な手取りを知りたい場合は、以下のシミュレーターをご利用ください。
俸給月額・地域手当・扶養情報を入力するだけで、手取り額と控除内訳を自動計算します。
よくある質問
- 国家公務員一般職(大卒・行政職俸給表(一)1級25号俸)の初任給は約22万2,240円(2025年改定後)です。これに地域手当(勤務地により0〜20%)が加算されるため、東京都特別区勤務の場合は約26万6,600円になります。地方公務員も同水準ですが自治体によって若干異なります。
- 国家公務員のボーナス(期末手当+勤勉手当)は年間約4.50月分(2025年改定後)です。6月と12月の年2回に分けて支給されます。勤勉手当は勤務成績に応じて変動するため、実際の支給額には個人差があります。地方公務員も国に準じた水準が一般的です。
- 公務員は共済組合に加入し、会社員は協会けんぽや健康保険組合に加入します。保険料率は共済組合の方がやや低い傾向がありますが、2015年の一元化以降、年金部分(厚生年金)の保険料率は同率(18.3%・労使折半)に統一されています。短期給付(医療保険)の料率は共済組合ごとに異なりますが、おおむね協会けんぽと同水準です。
- 国家公務員(常勤・定年退職)の退職手当の平均額は約2,112万円(2023年度実績)です。退職手当は「基本額(俸給月額×支給率)+調整額」で計算され、勤続35年以上の定年退職で支給率は約47.709となります。地方公務員も国に準じた制度が一般的です。
- 公務員は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てです。平均的な公務員(勤続38年・平均標準報酬月額40万円)の場合、基礎年金が年約82万円、厚生年金が年約100万円で、合計年約182万円(月約15万円)が目安です。配偶者の年金と合わせて世帯で月22〜28万円程度になるケースが多いです。
公務員の初任給はいくらですか?
公務員のボーナスは年間何ヶ月分ですか?
公務員と会社員で社会保険料に違いはありますか?
公務員の退職金の平均はいくらですか?
公務員の年金はいくらもらえますか?
出典・参考資料
ふるさと納税の控除上限額やiDeCo・NISAの比較シミュレーションで、手取りを最大化しましょう。