フリーランス・副業の年収の壁2026|経費・社保・扶養の判定基準

最終更新: 2026年3月

フリーランスや副業の場合、年収の壁は給与所得者とは判定方法が異なります。「収入」ではなく「所得(収入−経費)」で判定されるため、経費の活用次第で扶養に入れるかどうかが変わります。このガイドでは、フリーランス・副業者特有の壁の判定基準と注意点を解説します。

給与所得vs事業所得での壁の違い

年収の壁の判定で最も重要なのは、「収入の種類によって所得の計算方法が異なる」という点です。

所得の種類 所得の計算方法 壁の判定
給与所得 給与収入 − 給与所得控除 年収(額面)で判定
事業所得 売上 − 経費 − 青色申告特別控除 所得で判定
雑所得 収入 − 経費 所得で判定
重要

フリーランスは「経費」を差し引いた「所得」で壁が判定されます。例えば年間売上200万円でも経費が152万円なら所得は48万円。配偶者控除の範囲内(合計所得48万円以下)に収まります。

ただし、社会保険の扶養判定では注意が必要です。税法上の扶養は「所得」で判定しますが、社会保険の扶養は健保組合によって「収入」で見る場合と「所得」で見る場合があるため、配偶者の勤務先の健保組合に確認する必要があります。

経費を引いた「所得」で判定される仕組み

フリーランスの壁の判定では、以下の順序で所得を計算します。

所得の計算ステップ

Step 1:年間売上(収入)を集計
Step 2:必要経費を差し引く(通信費、交通費、消耗品、家賃按分など)
Step 3:青色申告特別控除を差し引く(最大65万円)
Step 4:残った金額が「事業所得」=壁の判定に使う数字

項目 具体例A 具体例B
年間売上 200万円 300万円
必要経費 87万円 180万円
青色申告特別控除 65万円 65万円
事業所得 48万円(扶養内) 55万円(扶養外)
青色申告のメリット

青色申告特別控除(65万円)を使えば、扶養の判定で有利になります。白色申告では青色申告特別控除は使えないため、経費が同じでも所得が65万円高くなります。フリーランスで扶養を意識するなら、青色申告は必須です。

経費として認められる主な項目

・通信費(インターネット、携帯電話の業務使用分)
・交通費(打ち合わせ、取材等の移動費)
・消耗品費(PC周辺機器、文房具など)
・家賃の一部(自宅兼事務所の場合、面積按分)
・水道光熱費の一部(業務使用分)
・書籍・研修費(業務に関連するもの)
・外注費(業務委託した場合)

フリーランスの手取りを計算

売上・経費を入力して、税金・手取りをシミュレーション。

副業20万円ルール(確定申告義務)

会社員が副業をしている場合、副業の所得(収入−経費)が20万円を超えると確定申告が必要です。これがいわゆる「20万円ルール」です。

副業の所得 所得税の確定申告 住民税の申告
20万円以下 不要 必要
20万円超 必要 必要
注意

20万円ルールは所得税の確定申告のみの特例です。住民税の申告は副業の所得が1円でも必要です。お住まいの自治体に住民税の申告を行ってください。

また、医療費控除やふるさと納税で確定申告を行う場合は、20万円以下の副業所得も合わせて申告する必要があります。

フリーランスの国保vs社保の選択

フリーランスの社会保険制度は、会社員とは大きく異なります。

項目 会社員(社保) フリーランス(国保+国民年金)
健康保険 健康保険(会社と折半) 国民健康保険(全額自己負担)
年金 厚生年金(会社と折半) 国民年金(定額約1.7万円/月)
傷病手当金 あり なし
出産手当金 あり なし
扶養制度 あり(配偶者・子の保険料ゼロ) なし(家族分も保険料必要)

配偶者の社保扶養に入る選択

フリーランスでも、年間所得が少ない場合は配偶者の社会保険の扶養に入れる可能性があります。扶養に入れれば、健康保険料・年金保険料ともにゼロになるため、大きなコスト削減です。

ただし、健保組合によって扶養の判定基準が異なります。

健保組合のタイプ 判定基準 具体例
「収入」基準 売上130万円未満 売上150万円→扶養外
「所得」基準 所得130万円未満 売上300万円、経費200万円→所得100万円→扶養内
確認が必須

配偶者の勤務先の健保組合に「フリーランスの場合の扶養判定基準」を直接確認しましょう。協会けんぽ(全国健康保険協会)は「収入−経費」で判定しますが、組合健保は独自の基準を持っている場合があります。

配偶者が自営業の場合の扶養判定

配偶者がフリーランス・自営業の場合、そもそも「社会保険の扶養」という概念がない点に注意が必要です。

重要

配偶者が自営業(国保加入者)の場合、あなたは社保の扶養には入れません。社保の扶養制度は、配偶者が「健康保険(社保)」に加入している場合のみ利用可能です。

配偶者が自営業の場合は、以下のようになります。

健康保険:自分で国民健康保険に加入(家族全員分の保険料が世帯主に課税)
年金:自分で国民年金に加入(第1号被保険者)
税法上の扶養:合計所得48万円以下なら配偶者控除は受けられる

夫婦ともにフリーランスの場合、世帯全体の国保料は所得に応じて高くなるため、片方が法人化して社保に加入するという選択肢も検討の価値があります。

フリーランスの税金・手取りを計算

売上・経費・扶養の有無から、税金と手取りを自動計算します。

よくある質問Q&A

フリーランスの年収の壁は給与所得者と何が違いますか?
給与所得者は「年収(額面)」で壁を判定しますが、フリーランスは「収入−経費=所得」で判定します。経費が多ければ売上が高くても扶養に入れる可能性があります。ただし社保の扶養判定は健保組合によって基準が異なるため確認が必要です。
副業の収入が20万円以下なら確定申告は不要ですか?
所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。また、医療費控除やふるさと納税の確定申告を行う場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告する必要があります。
フリーランスは社会保険と国保のどちらに入るべきですか?
フリーランスは原則として国保+国民年金です。配偶者の社保の扶養に入れる場合は保険料ゼロで最もお得。退職後は任意継続(最長2年)も選択肢です。フリーランス向け組合健保に加入できれば保険料が抑えられる場合もあります。
配偶者がフリーランスの場合、扶養に入れますか?
税法上の扶養は合計所得48万円以下で可能。社保の扶養は健保組合の判定基準によります。「収入」基準の組合なら売上130万円未満、「所得」基準の組合なら所得130万円未満が目安。配偶者の健保組合に確認しましょう。
副業の年収が増えた場合、会社にバレますか?
住民税の額の変化から判明する可能性があります。確定申告時に住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に選択すれば、副業分の住民税は自分で納付できます。ただし自治体によっては対応が異なるため注意が必要です。

出典・参考資料

  • 国税庁「確定申告が必要な方」
  • 国税庁「青色申告制度」
  • 国税庁「配偶者控除」
  • 全国健康保険協会「被扶養者とは?」
  • 財務省「令和8年度 税制改正の大綱」